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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-119-

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 その理由。眠ったらそれっきりになるのでは。という非常な恐怖。
 夜だからと眠ってしまったら、朝が来るという保証はない。それを本能的に判っている。
 だから恐らく何日も満足に寝ていないのであり、寝不足の表情なのだ。朝が来るまで安心感が得られない。
 心地よい眠り。夢見る子供の表情は、人間の最も幸せな状態を示すはず。
 なのに、それが、恐怖でしかないなんて。
 しかし、今の彼女に、彼女の身体に何より必要なのは、信じて、安心して、眠れること。
 そして、その答えを、レムリアはたった今、狼から得た。
「大丈夫。神様とケンカするから」
 レムリアは囁いた。
「天使があなたを迎えに来ても、私はあなたを渡さない。神様が来いって言っても、蹴っ飛ばして追い返す。
 私が助ける。何度でも助ける。
 お昼にあなたにそうしたように、私は絶対にあなたを神様に渡したりはしない。引き替えに私を地獄に落とすというなら落ちましょう。代わりに私に来いというなら行きましょう。
 それで、あなたが、助かるのなら」
 レムリアは言い、ゆっくりと、トーンと、リズムを下げながら、この船ならではの方法で彼女を睡眠へ誘導し始めた。温度を整え、気流を呼び込み、星の海の中を行く。
 腕の中の少女の身体から、こわばりと震えが徐々に抜けて行くのを感じる。
 あとは、あと出来ることは。
 朝への確信が持てないのなら……。
 船を東へ向ける。
「また狼に会いに来る?」
 レムリアは問うた。
「うん」
「じゃ、魔法を使うから、目を閉じて」
 レムリアは、そっと言った。
「……うん」
 まいかちゃんは頷き、そのまぶたをゆっくり閉じた。
「一緒に言ってね。(私の道は私の力で。あなたの光に守られながら)」
 レムリアはまいかちゃんが復唱するのを待ち、船の速度を、格段に上昇させた。
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(つづく)

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