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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-120-

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 行く手の空、水平線の彼方より見え始める青い領域。
 その青みは、次第に周囲を夜の闇から解き放ち始める。
 天文薄明と呼ばれる、夜と朝とのはざま。
 空が闇を、星を失い、次第に青から“空色” へと変わって行く。
 波頭が煌めき、浮かぶ雲が白く輝く。船は今、海面すれすれを超高速で東方へ馳せている。
 海面の向こうが赤みを帯びた。
 水平の赤味から天へ向かい、黄色へ青へとグラデーションが描かれる。赤みは光芒となり、真っ直ぐな光の道と化して水面を伸びてくる。
 その道の彼方。
 赤みが円弧を描いて盛り上がり、まばゆい光輪が、血潮と同じ色の巨大な光の球が、ゆっくりと、しかし堂々と、生まれ出ずるように姿を現す。
 母なる太陽。
 魔法が解ける。
「朝がきたよ。まいかちゃん」
 まいかちゃんは頷いた。
「夜は、明けたよ」
 レムリアは、言った。
 まいかちゃんは頷き、少しまぶたを開き、その瞳を金色に輝かせてから、再び、まぶたをゆっくりと閉じた。
 安心したように微笑を浮かべる。その体から力が抜けて行く。
 レムリアは両の足を踏ん張り、しっかりと彼女を両の腕に抱き、朝日に向かう甲板に立ちつくす。
 腕の中の少女は髪の毛が抜け落ち、あまりにもあまりにも痩せ、肌の色には生気無く、そして目の下には、ひどい隈がどす黒く腫れ上がっている。
 だが、その安らかに眠る笑顔に、レムリアは赤ん坊のような愛らしさを感じた。
 思わず漏れた彼女の微笑みを、地球大気に今日の上昇気流を与え始めた日輪が、白く、強く、明るく照らした。
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-終章-
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 夜の部屋に鳴り響く着信音。
 暗闇の中で、布団の中の男は手だけ伸ばして電話を受けた。
 液晶画面には発信者として“姫”。
「なんじゃ?」
『ごめん、音信不通で』
 レムリアである。別れてより2週間。
「いいよ」
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(つづく)

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