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【恋の小話】星の生まれる場所(5)

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 それは彼女の喉、気道がストレスで縮こまっている。僕はそんな気がした。
 一策。
「え~通りすがりの皆様、これからたい焼き屋アルバイトの娘あやなちゃんが歌います~!」
 風俗の呼び込みよろしく周知。
「ちょっ……」
 彼女驚くが気にしない。
「先着2名様には焼きたてたい焼きプレゼント!」
 以上ブチ上げたら……小さい男の子と女の子が走ってきた。
 その後ろから母親らしき女性が慌てて。いやいやそれも大事なリスナー。
「あやなちゃんアニソン幾らか知ってるか。“ワルキューレ”とか」
 それは北欧神話に範を取った幼女向けの正義ものテレビアニメ。女の子が正義の味方ワルキューレに変身して敵を倒す。
「あ、ええ、はい」
 ショルキーがオープニングを奏で出し、子ども達は曲が判ってノリノリ。
 追いついてきた母殿は少々不機嫌。余計なことをってなところであろう。
 説明責任。自分は彼女のサクラでたい焼きは本当に焼きたてだ。裏切ることになるので上げるモノ上げて下さい。
 袋の中のホカホカを確かめさせたら、母殿は2匹は多いと一つだけ取った。
 歌はサビに入って子ども達が振り付き踊り。微笑ましく眺める通りすがりの大人達。
 と、気付いたこと。あやなちゃん何て楽しそうに歌うんだ。
 これが彼女本来の持ち味なのだろうと思う。知ってる歌好きな歌。それなりレッスン受けてりゃそれなりの出来になる。それは多分、当面の目標。
「あなたも誰かのワルキューレ!」
 曲の締めのセリフが決まったところで拍手が沸いた。
 そこで“聴衆”が付いていることに彼女は気付いたようだ。
「ありがとうございます。私あやなって言います。歌手目指して勉強中です……えーと即興で浮かんだ曲を歌いたいんですけどいいでしょうか」
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(つづく)

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