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【恋の小話】星の生まれる場所(2)

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 道行く人の止まるでなく、聴衆が増えるわけでなく。ある意味ワンマンライブ。
「ありがとうございました」
 それでも僕は盛大に拍手をした。ちょっとしたコツがあって小さな手のひらでも相当に大きく響かせることが出来る。
 突然の拍手に足を止める人少々。
「レッスンとか通ってるの?」
「はい。まだまだですけど」
「詞も曲も自作?」
「そうです」
「シンガーソングライターか。歌詞からして学生ぽいけど……レッスン代は?」
「バイトしてます」
 それはある程度本格的な裏返し。ならば。
「詞は素直でイイよ。ただ曲は声域とコードが合ってないかもね。偉そうなこと言えないけどさ。実力より少し広い範囲に敢えて設定する手もあるかも知れないけど、喉壊したら世話無いよ」
 と、言ったら彼女は液晶画面だけの携帯電話、スマートフォン。略してスマホを取りだして慣れた操作で画面をスリスリしてメモメモ。
「ありがとうございました。参考にします。それとあの、これバイト先で作ったんです。良かったら食べて下さい」
 取り出したのは……たい焼き。
 しかもかなりド派手な外観。皮はプラモデルで言うところの“バリが出ている”状態にはみ出してるし、あんこ詰めすぎなのかおデブ。
「……それ失敗品で」
 じろじろ眺めているの理由を知ったと感じたか、彼女は付け加えた。
「こっちも見習い中?」
「です」
「お店は?」
「あ、えーと」
 彼女はスマホで検索してサイトを提示した。
 携帯電話向けのバーコードがあったのでそっちで捕獲。
「スマホにしないんですか?」
「このリュックにパソ入れて持ち歩いてる。スマホって出来ること限られてんじゃん。へぇ『かのん』ねぇ。音楽流れてそうな名前だね。君にピッタリじゃない?」
「これ『かんのん』から取ったらしいです。千葉の方にそういう駅でたい焼き売ってるとかで」
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(つづく)

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