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【魔法少女レムリアシリーズ】ミラクル・プリンセス-122-

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「それだ」
 相原はニタッと笑って言った。
「彼女は起きぬけ一番こう言いましたそうな『私は狼になります。無理はしません』って」
『ああ、なるほど』
「薬も治療も素直に受ける。その代わり痛くなると布団に潜って怒鳴るわめく。でも、前のように病院スタッフや親御さんに当たったりはしない。するとあら不思議、ぜんぜん悪化もしないし痛いのも収まり始めた。最も、それは痛み止めの作用か、単に一時的に進行が止まっただけかも知れなかったけどね。ただ、シスターに言わすとその頃彼女は『目覚めた』らしい。君の魔法が効いたと解釈したらしいんだ。そうなるともう後は螺旋階段を上って行くように状態。そういうのって『目覚めた人』の特徴的な変化なんだってね。自分と同じことを他の子ども達にって言い出して、教会がやってるお話会にお話する側で参加したりとか、君のティアラを女の子にかぶせたり、画用紙でつくってみたり。言うことすごいってさ、『婦長が何か言ったら私が守る。院長が来たら蹴っ飛ばす』……そりゃ最初は揉めたらしい。でも、シスターが徹底的に彼女の味方をした。彼女が君に直接“魔法”を掛けられた当事者ということもあるだろうがね。やがて病棟全体の雰囲気が変わり始めた。子ども達の笑顔が増えて、食事や、投薬、治療に対する姿勢が前向きになった。こうなるとギャンギャン吠えてた方も黙ってしまう。あとは喜びと楽しさの連鎖と言えばいいかな?それこそ目覚めた病棟の螺旋階段。“楽しむことが元気の源”がここでエンジン始動、と。
 つまり君は、由利香ちゃんに続き、今度はまいかちゃんを変えてしまった。彼女を神様の腕から横取りしてしまったのさ。そして、それをきっかけに、病院全体を変えてしまった。
 ミラクル・プリンセス看板に偽りなし」
『……大げさだよ』
 相原の台詞に、レムリアはワンテンポ置いて微笑混じりに応じた。
「否定するもんでもないでしょに。しかしまぁ、君は会う人を片っ端から元気にしたり治したり。君は自分は半人前だとこぼすけど、こういうのは君だけにしかできない、それこそ魔法だ。呪文無き魔法だな。言っておくけどこれ最上級のほめ言葉だからね」
『……うん』
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(次回・最終回)

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