【大人向けの童話】どくろトンネル-1-
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8月15日。登校日。平和授業。
今年は震災後最初のお盆と言うこともあり、帰る前にみんなで黙祷。
震災は東北地方太平洋沖地震、東日本大震災のこと。2万人近く死んだり行方不明になったり。この街もケガや犠牲はなかったが建物の被害はそれなり。
さぁ帰ろう。そのタイミングでタカシがニヤニヤやって来て、サトルに耳打ち。
「肝試し?」
問い返したら、タカシは慌てたように教室中を見回し、サトルの口を塞いだ。
「バカ!でけぇ声出すんじゃねぇよ。バレたらどうすんだよ」
「どうでもいいじゃん。くっだらねぇ」
サトルは口塞ぐ手を払った。するとタカシは威張るように胸を張り、サトルを見下ろした。
「言うと思ったよ。ユーレイなんかいないんだよな。だったら、怖くなんかねーよな」
「怖いもへったくれもねーじゃんか」
「じゃぁ、来いよ」
タカシは言うと、しゃがみ込んで、サトルにもう一度耳打ち。
「どくろトンネル。行くんだよ」
「でも立ち入り禁止だろ?怖い怖くないの前に」
「関係ねーよ。あるんだよ管理用の道がよ」
どくろトンネル。この集落は県境にあり、鉄道が通っている。その県境峠越えのトンネルのうち、古い方のこと。古いのは2つあり、半分埋もれている。その埋もれた2つの穴がどくろの目の部分、難しい言葉で眼窩の形に見えるからそう言う。
この学校に来れば誰もが知るウワサなのでサトルも知ってはいた。が、幽霊なんかいるわけ無いと思っているので興味なし。科学雑誌で“脳に超音波を当てれば幻を見せたり出来る”とあって、全部ウソか思い込みだと確信した。暗いから怖いとか、夜に聞こえる音でいちいちキャーキャー言うのはバカだと思う。
「来るよな。弱虫じゃなけりゃな」
耳打ち一転、タカシは少し大きな声で言った。教室中の目が二人に集まる。
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(つづく)
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