【恋の小話】星の川辺で-10-
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それは、PTAの間で、オレら生徒の与り知らぬところで、彼女に関し何らかの情報が出回っていることを意味した。
「あんた知ってるの?その子言動が……」
「オレの感想、彼女のべつ短歌とか俳句とか考えてんの。だから傍目に変で不思議なんだよ。めちゃくちゃいろんな事知ってるしめちゃくちゃ好奇心旺盛。そら普通の言動はしねぇだろうよ。今夜望遠鏡担ぎ出すと言ったら一緒に見たいってさ。8時位に出て行くから先方の親に電話してくれよ」
オレは流れるように必要なことを言った。
「そこまで進んでるの!?」
「何だろ、好きだからちゅー、なんだよ。エロ成分ゼロ」
言ったら、悠里が「エロちかん、男子は変態エロスケベえ~」と歌い出した。幼稚園で流行っているのだろう。
母親が怒る。
「こら悠里」
「はい色紙」
渡すと、エロスケベコンサートは終わった。
オレは母親に向き直った。
「正直、自分で安達さん好きかどうかワカラン。いきなり言われてピンと来ないしね。ただ、彼女の気持ちは尊重したい。っていうか……」
「ムリに理由を探さなくていいよ」
母親は温和な表情で言った。
学校の父母会において、彼女の母親が全員に頭を下げたというのだ。
「迷惑掛けるような子に育てたつもりはありませんが、思ったままを口にしてしまう傾向があります。それがどうしても悪い印象に取られることがあります。味方になってくれる友達がいて下されば幸いですって」
動揺、した。
子供にとって、大人に言われて最悪の言葉というのがある。
……友達になってあげて、だ。
言われた他の子ども達が抱く心象は一つである。コイツ仲間外れなんだ。
大人は気を遣ったつもり。比して子供が持ったのは先入観。
もちろん、優しい子は友達になろうとする。ただ往々にして、その裏にある心情動機、“友情”でなく“同情”の存在に相手は気付く。
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(つづく)
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