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【恋の小話】星の川辺で-14-

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「一筋の光描いて天を行く天空先端研究所のあり」
「その通り。しかしまぁ良く何でも三十一……」
「あー消えちゃう……あそこに人がいて、最先端の研究してて」
「そこへネットでメッセージ送れるんだなこれが。みんなツイッターやってるから」
「何かすごい。すごすぎる。私たちとんでもない未来に生きてる気がする!」
 あこがれのヒーローに出会った幼児のように足をじたばた。
 合わせて悠里も面白がって足をじたばた。
 それはさながらタイムスリップしてきた万葉人と評すべきか。
 短歌俳句好きなら、教科書が相手なら、文字になっているのは古い世界や視点、価値観が主だろう。
 万葉から1000年過ぎてる。
 以下、川までの道を星空解説しながら歩く。今年は土星がスピカの近くで白く輝く。
「土星の輪ってそれで見えるの?」
「合点承知の助」
 すると彼女は急に早足になった。
「見たい見たい土星見たい。早く行こう」
「お姉ちゃん速いよ」
 手を引かれる悠里がバランス崩すのを見て、彼女は抱き上げて小走り。
「ちょ……もう」
 機材を落とすわけにも行かないのでそのまま自転車を引いて行く。
 川べりに着いたら安達美奈は立ち尽くして呆然としていた。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん固まった」
 悠里の言葉の通り。ただ、果たして彼女はゆっくりこっちを向いた。
「閉じてる」
「は?」
 指さしたのは足もとシロツメクサ。
 クローバー共、葉を閉じてる。
「ああ」
 オレはとりあえず頷いて見せ、自転車のスタンドを立てた。彼女の今の疑問には応えることが出来る。
「ああ、ってことは、これ当然当たり前のことなの?」
「就眠(しゅうみん)活動って言うんだよ」
 植物一般の生活サイクル説明。昼は光合成。夜は呼吸。光合成に必要な葉緑素は表に多く、呼吸に必要な穴は裏に多く。
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(つづく)

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