【妖精エウリーの小さなお話】けだもののそんげん-03-
それとも無意識にそういう価値観が、人間的価値観が私の中にあって、伝わってしまっているのでしょうか。
〈例えばここなんかそうです〉
国道行くこと60メートル余。未舗装でデコボコした道との交差点でネズミは止まりました。
違和感2点。まず、そこにはチェーンが渡してあって、看板がブラブラ“管理用・立入禁止”。
こんな道あったっけ、というもの。
そしてもう一つ。
〈これはひどい〉
(人間的に表現すれば)顔をしかめたのは老犬。鼻に皺寄せ不快の意識。
〈死臭が漂っています。死が、多くの死がこの道を通っています。幾度となく〉
道。
〈管理用……なのに?〉
公園のそれ、と思います。普通なら。
私たちは少し道を進んでみました。
すると、未舗装だった道は、しばらく進んだ位置から逆にアスファルトで舗装され、さらに奥へ続いています。
ただ、市街で見かける道路とは舗装の造作が異なるようです。両端は路肩から溢れ出してそのまま固まったような様相を呈しており、路面もかなりデコボコ。昨日の降雨のせいか、油光りのする水たまりがそこここに見えます。
そして轍。街路はそうはなりませんから、舗装前の必要な調整をしてない証でしょう。ここは国立公園。管理用とはいえ、こんな“雑”な道路を作るでしょうか。むしろ化学物質の汚染になるはずですが。
見上げる夜空は木々の梢に覆われてて見えず。
それは、裏返せば、“見えないことをいいことに”。私が感じたのはそれ。
「誰か、この先には?」
〈さぁ〉
〈入れないと思いますよ〉
割り込んできた意志の声はミミズク。
ばっさと羽ばたき、速度を落とし、差し出した私の腕に。
彼の言ったことを要約します。市街地の電線から感じるような、電磁波を出すモノでぐるりと囲まれた領域がある。
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