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【妖精エウリーの小さなお話】けだもののそんげん-04-

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 電線を巡らせている、ということでしょう。鳥類は体内に磁石を持っていて方角を把握していますから、応じて人工的な電磁力には敏感です。電線があれば磁界のふらつきとして判るのです。
「私が上から見た分には、何も無かったようだけど……」
 私は言いかけ、嫌な考えに襲われ、思わず首を傾げました。
 上から見ても判らないようにする必要があるなら、逆に電流柵で囲われていて当たり前なのではないか。
 つまり、ろくなモノじゃない。
 そうした、後ろめたい存在と動物の死骸ゴロゴロなら、つじつまが合います。
「行ってみましょう」
〈危険ですよ〉
 ミミズクが即否定。
「かも知れない。でも、私は確かめる義務がある」
 背中の翅を伸ばします。クサカゲロウのそれがモチーフでうっすらとグリーンを帯びます。但し、昆虫の基本4枚に対して2枚。伸縮はリンパ液の出し入れ。
〈連れてって、もらえませんか〉
 言ったのはネコ。
「え?」
〈僕らも。判らないけど……行かなくちゃいけない。そんな気がします〉
 ネズミたちが言いました。
 動物たちに見つめられ……それでも来るなと言えるでしょうか。
 彼らは“何か”を感じているのです。この道の向こうに、自分達共通に関わる“何か”があるのを。
 それはそう、大きな天変地異の際、種の違いによらず感知する様に似て。
「判りました」
 私は今いる面々で最も小柄なネズミたちを肩に乗せると、道を歩いて行くことにしました。ミミズクによれば、その電磁波を感じる辺りまでの距離は1キロもなさそう。歩いても大したことはありません。
「行きましょう」
 歩き出します。さながら行進です。老犬が先に立って鼻を利かせ、ネズミを乗せた私とネコが、更にハクビシンが続きます。ミミズクは上空を巡回して周囲警戒。
 

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