【妖精エウリーの小さなお話】けだもののそんげん-06-
のみならず、道路両脇の雑木林にビームが向けられ、旋回しています。走査(スキャン)と呼ばれる動作で、赤外線のレーダがあるのでしょう。
何という厳重な警備でしょうか。まるで要塞の防衛です。
〈道路脇の土の温度が変です〉
マムシの指摘を受け、私は透視能力を使います。
その結果。
道路両脇は溝状に落とし穴が作ってあります。つまり、センサに気付いて横から行こうとするとそこに落ちる。人間相手の防衛とするなら、ケガをさせても構わない、むしろ危害を加えようとしている風にも見えます。
〈うるさい音を出す機械があります〉
ネコの指摘。とはいえ人間聴力には何も。
高周波音響装置。犬猫に聞こえる高周波や超音波を発生し、接近を阻止します。深夜に若者が駐車場等に“溜まる”のを防止する“モスキート音”発生装置はその親類。
これだけエレクトロニクスが集積している設備、にも関わらず。
「空からだと……」
〈普通の森にしか見えませんね〉
隠蔽以外の何ものでもありますまい。正体をどう突き止めましょう。この道路を走って来るであろう何かを待つか。
いや、そこまで悠長な話は必要ない。
「上になければ下か」
〈土の中って事ですか?〉
私は頷きました。
そして土に手をかざし、モグラがいればと呼びかけますが応答無し。
いない?
ネズミたちはモグラの掘った穴に後から住み着いたりしますが。
〈自分達ここに近づきたくないですし……〉
ネズミはそう答えました。理由はミミズクと同じで“不愉快な何かが充満している”からとのこと。
大きな音がしました。
機械音です。あからさまな人工構造の証。
イヌには木の裏で伏せているように言い、私は他の動物たちを肩や頭や、載せられるところに載せて木の枝の上へ。
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