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【妖精エウリーの小さなお話】けだもののそんげん-07-

 
 赤外線のビームの向こうに動きがあります。
 アスファルトの部分に四角く切り取られたような切れ目が入り、そのまま陥没するように地下へ移動し始めます。
〈底抜けですかね〉
「いいえ、エレベータ」
 その人間の産物を森林に住む彼らに理解させるのはムリでしょう。
「上がったり下がったり出来る箱が作り込んであるんだよ」
 また音がしました。エレベータが階下に着床したのだと判りました。
 ゴトンゴトンと大きな音。エンジンと思われるガラガラ音も聞こえます。
 アスファルトごと動いた状況と合わせて、車両が乗り込んだと考えれば辻褄が合います。
 上がってきます。先ほどは地面の蓋状態でしたが、蓋はそのまま行き過ぎて更に上昇、鉄の棒でできた箱が現れ、そこにトラックが乗っています。
 私たちは気が付きました。
〈死神の手先〉
 老犬のその言葉が的確と言えるでしょう。トラックには死がつきまとっています。否、まとわりついています。
 もっと直接な表現で言うと、無数の幽霊が包むように周囲にいるのです。
〈おいで〉
 私は呼びかけました。幾多数多の幼い魂がトラックを離れて動き出しました。
 トラックが走り去ったところで私は地上に降り立ちます。
 仔猫や子犬のまま、世を去り、そのことすら知らずに、彷徨い続ける幼い魂達。
 揺らぐ影のように私には見えます。幽霊、と書くと怒りや悲しみを伴って表現されますが、彼らは“何も知らない”が正確。
 ヨークシャテリア、アメリカンショートヘア、マンチカン、トイプードル。
 生前はそれぞれが血統書付きの高価な愛玩動物だったと感ぜられます。
 以下会話形で書きます。
〈あなたはだあれ。どうしてわたしたちが見えるの?〉
〈妖精です。エウリディケと言います。あなたたちのような状態でも見える力を持っています。あなたたちはどこから来たの?〉
 

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