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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【55】

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「では、飛びますか?」
 セレネが微笑んだ。
「飛ぶ……」
 飛行機で飛ぶ。ヘリコプターで飛ぶ。EFMMでは日常茶飯事。
 同じ、飛ぶという行為。ただ、ニュアンスは違うであろう。
 一つ判るのは、〝管制官とのやりとり〟がこちらには多分無い。
「満月まではまだありますが、燃料のチャージが充分なので、少しはあなたの希望通りに。もちろん、宇宙でも……」
 月齢12。セレネの言う〝飛ぶ〟は周遊飛行みたいな意図であろう。だが、そんな貴重な燃料なら、誰かを助ける以外の用途に使うべきではないと思うのだ。
 〝周遊〟はオリエント急行で充分堪能させてもらった。
 自分の服装を確認する。シャツブラウスに長めのスカート。お出かけ用、だが。
 ジェームズ・ボンドだってタキシードでスパイ・アクションをする。
 ウェストポーチもいつも通り腰に巻いている。
「いえ、でしたら、その、出来る範囲で……やってみたいんですけど。無理ですか?今からは」
 レムリアは提案した。プロジェクト活動の具体的なイメージはさっきテレパシーでもらった。が、実際動いてみるとまた違うと思うし。
 この船を試してみたいという気持ちも率直にある。
「もちろん可能だ。異論あるかね?諸君」
 アルフォンススが言った。
 男達は何も言わない。代わりに、めいめいコンソールの自席に向かう。
「これがみんなの答えだ。レムリア」
 船長アルフォンススは言った。
「はい」
「よろしい。総員、ミッション実行準備」
「了解」
 レムリアは先ほど案内されたコンソールに腰を下ろした。
「これを耳に」
 渡されたのはイヤホンマイク。ワイヤレスで通信機能内蔵。耳に掛け、マイクは頬に触れるか触れないか。
 各自コンソールの機材手近のトラックボールを手で回す。電源が入り画面が立ち上がる。よらず機材どれかに触れれば起動する。
 そして。
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(つづく)

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