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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【69】

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 アリスタルコスの声が入る。彼の視界に水面下の船が見えてきたのだろう。
『判っている。このままでは折れる。甲板外の部分を切り落とす。前半分はそれで、後ろ半分は私が』
『了解した』
『シュレーター持ち上げろ』
「了解」
 男達のやりとりは緊迫感に溢れているが、どこか余裕がある。そのせいか、中にいるであろう子ども達に関し、レムリアも不安や焦りをあまり感じない。うまく行く、という不思議な確信がある。
 船が密輸船を押し上げる。レムリアは画面を注視する。
 甲板に載せた密輸船が、水上にその全容を見せ始める。
 それと同時にアリスタルコスのレーザ光、及び操舵室脇からブルーの光条が、それぞれ密輸船めがけて突っ走る。
 密輸船の船体は、2本の光条によって、アルゴ号甲板よりはみ出した前後の部分を切り落とされた。
 密輸船の船倉部分が現れ、甲板下に浸水していた海水が、堰切れたように流れ落ちる。一方、切断された船体前後は水しぶきを上げてそれぞれ海中に落下し、泡と共に没する。
 樹脂製の倉庫を甲板に載せ、帆船が海中より浮き上がった。
『各員、本船へ帰還せよ。シュレーター、帰還完了次第光圧シールド。救助優先とし、本船はこの場を離れる』
 つまり犯人どもは自走不能の船に〝放置〟。
 ただ、船の多い海域だからいずれ発見される。……それがアルフォンススの認識と知る。
『了解』
 双子から返事。
 画面には海賊船に取り残された男達と、彼らに銃口を向けながらアルゴ号へ戻ってくる兄弟達の姿が映る。
 しかし男達、すなわち海賊も人身密輸団も、その意識は反撃や恐怖という次元には無いようだ。謎の帆船が突如現れて沈み、そして密輸船を載せて浮かんできた。
 その有様に唖然として動けない。
 そして、船は忽然と姿を消す。透過シールドの作動。
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(つづく)

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