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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【86】

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「総員揃ったか」
 アルフォンススが高位から訊いた。
「はい。副長以下全5名、所定位置に着きました」
「よろしい。アルゴ発進する。機関正常。船体制御系正常。定常ルーチン起動シーケンス。探知システム状態報告」
「映像装置、探知装置共に正常です」
 レムリアは答えた。
「フォトンハイドロクローラ始動。浮上せよ」
「了解、アルゴ浮上」
 アルフォンススが宣言し、シュレーターが操縦桿を手前に引く。
 あの加速……レムリアは思い出す。文字通り瞬く間に数千キロ彼方に達したあの加速。
 光子ロケット……相対性理論……原理や理屈は良く判らない。
 ただ、判っているのは、科学雑誌に書かれた概念、いや、SF映画そのものの世界に、自分は来ている。
 船が水面を離れる。
「浮上しました」
「INS始動」
 操舵室の静寂。
「INS動作正常」
「透過シールド」
「透過シールド作動。フォトンチューブ確立確認。リフレクションプレート展開固定」
 船尾カメラが捉える〝光のくす玉〟。
「起動シーケンス全完了。副長復唱せよ。アルゴ発進」
「発進」
 セレネが答え、船が動く。
 街の光が正面スクリーンで幾重もの直線光跡となる。
 再びの、船で見るオリオン座。
 後で聞いたがオリオン座の方向に常に飛び立つようである。当然、満月ごとに見える位置は変わってくるので、いつも少しずつ方角がずれる。こうすることによって同じコースばかりを飛んでしまう問題を避けている。なお、オリオン座は、北半球では冬の星座であるが、南半球においては1年を通じて見えているので、夏期の出発方向は、コルキスから見て赤道を越えた向こう側、ということになる。
 そして、今回は、セレネがヘッドホンを装着して横になる前に、レムリアの衛星携帯電話がEFMMからの着信を告げた。
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(つづく)

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