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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【53】

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「大したもんだ。それともこの程度操るのに1ヶ月も掛かった我々の頭が固いのか?」
 シュレーターは額の皺をよじらせて笑った。そのセリフはすなわち、メンバーが準備として過去1ヶ月既に乗り組んでいることを意味した。
 ……自分、安請け合いしたはいいが、スキル追いつけるか。
「終わりましたか?」
 セレネが問いかける。
「はい。何とかなりそうです」
 言って、無言で、この位なら。しかしセレネには〝胸の内に隠す〟ということが出来ないと気づくまで数秒。
 セレネは笑って。
「一度聞いただけですごいと思いますよ。で、そこに新たに、で申し訳ないのですが、これは特にあなたに紹介しておきたいシステムがあるのですが……ちょっとよろしいですか?」
 セレネはレムリアを連れて操舵室を出た。
 通路を船首方へ向かい、先ほどの個室を行き過ぎ、二股の通路を右に折れ、階段を降り、操舵室の1フロア下。
「この船は本来、太陽系外宇宙観測船として開発されました。この船倉部分は観測機器が収まるスペースなのですが」
 扉を開けて中に入ると、まるで集中治療室。
 生命保持ユニット、とセレネは言った。いわゆるバイタルサインのセンサ表示類は当然として、除細動装置、人工心肺装置、輸液、輸血。MRI(核磁気共鳴断層撮影)を使った3次元体内解析装置。細菌・ウィルス解析システム。BSL(バイオセイフティレベル)3クラス緊急隔離機構。緊急冷却及び炭酸ガス瞬時充満装置まで備える。
「展開するとこうなります」
 ボタンを押すと、船外への扉が大きく開き、部屋全体が外へせり出し、妙なたとえだが、ドールハウスのように左右に展開。
 幕屋が付いて高機能野戦病院である。日本におけるドクターカーやドクターヘリにMRIを付加したグレードになろうか。
. 
(つづく)

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