アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【122】
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自分が動いていると言うより、数多の光点を張り付けた天球が回るが如し。ガリレオの発想はなるほど驚天動地であったと妙に納得。
更に。
「あれ?もう朝?」
「違うよ。沈んだはずの太陽を追いかけて追いついた」
漆黒の夜空が下方より青みを取り戻し、夕焼けとの間にグラデーションを描き、西から太陽が顔を出し、天高くへと昇って昼になる。
「魔法みたい」
ちありちゃんが感想を述べると、着ていたパジャマが姿を変えた。
「あ、あれ?」
パールシルバーのフリルが煌めくワンピース。
レムリアが知る日本の女の子の服は、キモノか、変身して悪と戦うアニメのヒロイン。
選んだのは後者。〝変身〟なら月明かりが必要だが、この程度なら手品の範疇。
「これ……ああ、『ヴァルキューレ』か」
「あなたの無事を孤児院のシスター達に見せてあげたいんだ。……で、そこの子ども達にその番組人気でね」
レムリアはウィンクした。フランスを中心に、日本のアニメは知名度が高い。
「透過シールド作動」
船は青空で姿を隠し、アムステルダムへ降下して行く。
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-19-
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白昼、歩行者天国になった運河沿いのレンガ道。
楽器を片手のミュージシャン、ジャグリングで拍手を浴びるパフォーマー。
混じって歩いて行くのは、とんがり帽子にホウキをかついだ魔法少女と、変身アニメのコスプレ少女。
高校(ギムナジウム)の生徒くらいとおぼしき男の子が声を掛けてくるが、レムリアは軽くあしらう。
「今のお兄さんはなんて?」
「彼女達カワイイね付き合わない?要するにガールハント」
「え?じゃぁ私たち今ナンパされたわけ?」
「その通り。まんざらじゃないってことでしょ」
ウィンクして教えたら、ちありちゃんはくすぐったそうに身をよじって。
「コスプレにナンパ。秋葉原みたい」
「アキハバラ……」
レムリアが思わずちありちゃんを見ると、ちありちゃんは驚いた様子。
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※アムステルダム写真は読者様よりご提供頂きました
(つづく)
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