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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【56】

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「これより本船はミッション実行準備を行う。各員担当システム状態について喚呼報告せよ。シュレーター。電源確認」(※喚呼:かんこ……声に出して確認しながら操作を実施すること)
「制御電源安定。主電源準備ヨシ」
「ラングレヌス。機関状態」
「ギフォード・マクマホン・サイクル動作正常。液体窒素温度70ケルビン。INS(いんす)予冷装置7ピコケルビン、ゼロ点振動。燃料反水素容量10パーセントチャージ。残容量100パーセント読替設定」
「アリスタルコス。防御システム」
「光圧シールド甲板部動作。作動良好」
「よろしい。透過シールド準備。副長PSC状態報告」
「PSCシステム健全。主管制と通信成立」
「各員了解。船体制御系全準備状態確認。起動シーケンス。正面スクリーン投影」
 劇場の大画面が光を発する。映っているのは収まっているコンクリートの大空間。
 カメラが捉えた正面は扉であったようだ。左右に大きく開き始め、奥に英仏海底のそれを思わせる巨大なトンネル。
「レムリア。探知システム状態報告」
 自分のこと。
「あ、はい」
 何を言えばいいの?と思ったが、目の前画面を良く見ると、装備しているカメラとレーダのリストと思しき表があり、機能の項目に全てOKの文字がある。
 ならば。
「映像装置、探知装置共に問題ありません」
「よろしい。機関始動!」
「始動します」
 アルフォンススの声に応じてシュレーターが喚呼する。握っていた操縦桿の奥手側、フタ付きスイッチを押す。
 キュイーン。擬音で書けばそんな表現か。次第に周波数が高まる電磁音。やがて聞こえなくなる。人間の可聴域を超えた周波数であろう。
 数秒後、ラングレヌスが座る位置でランプが幾つか。
「フォトンハイドロクローラ始動。主コイル、前段加速器温度所定。機関準備ヨシ」
「機関準備確認。浮上」
「浮上」
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(つづく)

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