アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【50】
(CEATEC 2011)
巨大液晶テレビの上に紙皿を並べてサンドウィッチ。
後はめいめいコーヒーなり紅茶なりチョイス。〝船内食〟は基本的にこのレベルになるとか。全く異存はない。どころか〝ちゃんと食事に見える食事〟が用意できるだけ大したもの。
船自体はやはり本来は宇宙船なのだとか。確かに、スクリーン方を向いている限り、映画の中の宇宙船そのものである。ただ、スクリーンに背を向けて立つと景色が異なる。
この空間は操舵室と呼ばれる。後方は大学の講堂よろしくひな壇状に数段、コンソールが配置され、大人数の収納が可能な構造である。ただ、コンソールに機器はなく椅子もない。唯一、最上段中央にのみ、黒革張りの大きな椅子がある。
「私の居場所だ。目障りだから隅っこから見てろということさ」
言ったのはアルフォンスス。つまり船長席。
「全情報がそこに集中し、あらゆる指揮管制が可能だ。操舵権を持つことも出来る」
船長席後ろの壁にドアがあり、現在そこが開いている。その中に食料庫があるという。
不思議なのはひな壇中腹である。右舷寄りにオフセットされたスペースがあり、パソコンデスクと、ベッドと、観葉植物の鉢植え。日本的な表現をすれば学校の保健室。
「副長席です。テレパスはベッドで寝てなさい」
確かに、目を閉じて静かにしている方が、超感覚は鋭敏になる。
セレネはここに横たわり、センサーを頭部に装着して、電気的に船のコンピュータと通信するのだという。そして危機にある命の悲鳴をキャッチすると、船がセレネの意識から悲鳴の座標を読み出し、船をそこへ振り向ける。つまり、電気的なテレパシー。称して
Psychology-direct-reflection Synchronization Control-unit.
心理同期制御とでも訳すか。略称PSC。
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(つづく)
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