アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【81】
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運用テストはひとまず成功と言って良いだろう。次は満月に。そう約束して、レムリアはアムステルダムへ戻った。
市内には運河が縦横に走る。加えて真夜中であれば、人のいない場所を見つけて船を下ろすのは造作もない。
船を下り、街路へ上がって少し走り、先ほどの孤児院へ向かう。
大都会アムステルダム。
だが麻薬のイメージも手伝い、治安が取りざたされる街ではある。21世紀になって改善された方だが、深夜帯にローティーンの少女が一人で歩いて安全なわけではない。
「子ども達はどうですか?」
応対に出た若いシスターに、レムリアはいきなり訊いた。
「あ、子ども達は大丈夫ですが……あの確か魔女さん、先ほど中国だか日本だか極東の方へ」
3時間で行って戻れる距離ではない。
常識では。
「日本の技術は流石ですね」
レムリアはそれだけ言った。超絶技術大国というイメージがあるので、多分これで事足りる。考えてみればオランダと日本の関わりは古く、しかも友好的である。数百年前、日本の唯一の貿易相手はオランダだったと聞くし、コンパクトディスクなど、光ディスクの開発は、オランダの発想と日本の技術力の協業による。
「あ、ああ、そういうことですか。凄いですね」
シスターはそう応じ、ニコッと笑った。
お茶をもらいながらその後の状況を聞く。子ども達はここで食事を取ってもらい、いわゆる禁断症状の重い子は病院へ搬送されたとのこと。今ここに残っているのは4名。煙をあまり吸わなかったらしい。
顔を見に行く。ぐっすり寝ており、安心したような表情。
とは言え怖い目に遭ってきたのだ。念のためそのまま夜明けまで様子を見させてもらい、
明るくなってから後を託し、トラムに乗ってアパートへ戻る。
ポストを覗き、いつものように何もなく。
鉄の階段を上って、カギを開けて入る、自分の部屋。
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(つづく)
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