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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【67】

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 緑色の光条はレーザ光。アリスタルコスが操るレーザガン。
 音を発した銀色は超高速で撃ち出されたアルミニウムの塊。電磁力で発射するもので、レールガンと呼ばれる。ラングレヌスの手にある(研究者向け:銃身は励磁し、固定磁界を与えている。短い銃身で充分な初速を得るため)。
「心配なら無用に。我々は制圧するだけだ」
 レムリアの視線を受けてか、アルフォンススはヒゲの端で小さく笑んだ。
 イコール〝救助のための殺戮〟は行わない。
「甲板」
 アルフォンススは2人を呼んだ。
 沈没している人身売買船の調査を終え、海賊船に戻ってきたシュノーケルの男が、海面から顔を出し、自船の有様に気づき、ホールドアップ。
『海賊船は制圧した』
「よろしい。下船して沈没船も制圧せよ。これより本船は沈没船を処置する。水中の状況を確認する。シュレーター、潜航準備。光圧シールド」
「潜航準備了解。主機関停止。クローラに注水」
 船は水面へスッと降下し、波の揺れが一旦船を捉え、すぐに消えた。
 水面に船がある。当たり前のはずなのに違和感を覚えるのは、波の影響を排除しているせいか、空を飛ぶ方に慣れたせいか。
「このまま水平保持し潜航する。船外との接続部分の閉鎖状況を確認せよ」
「エントランス、甲板ハッチ、生命保持ユニット部いずれも水密ロック確認」
「よろしい。甲板は制圧後そのまま水上待機せよ。レムリア、ソナーが起動する。異常探知に注力せよ」
『了解』
「了解」
 レムリアも答えて画面に目を向ける。ソナー。音響探査装置。
 水中で電波は飛ばない。ある程度以上の水深では光も届かない。そこで音波を発し、その反射有無で障害物の位置や形状を探知する。映画等潜水艦の描写でコーンコーンと音を出す場合があるが、その音こそ、このソナーから発せられる探査ビーコンである。
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(つづく)

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