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2013年11月14日 (木)

アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【7】

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 するとポーター氏はオーバーアクション。額に皺を寄せ、目を見開き、口を小さく“O”の字に開いて彼女を見回す。
 彼女は当然普段着ではない。襟元にふわふわフェイクファーをあしらったコート。ハンドバッグにピギーバックの衣装ケース。少なくとも男性はネクタイ着用、なのだ。文字通りの“女コドモ”であるが、カジュアルな服装は出来ない。
「……ああ、でしたらご案内致します。そちらお持ちしましょう」
「いえ、軽いから大丈夫です」
「仕事は抜きですよ。リトル・プリンセス」
 ポーター氏は言うと、彼女の衣装ケースを手にし、今来た入口へ後戻りを始めた。入ってくる人の流れに逆らい、そのまま入口から一旦駅舎の外へ出てしまう。向かったのは左手、路面電車が出ている広場の東隣。先導されるままついて行くと、そちらにもこぢんまりしているが、しかし車寄せを備えた出入り口がある。但し人の出入りは殆ど無い。
 彼女は気が付く、というか思い出す。この入口は。
 宮廷車寄せである。大きな英文のウェルカムボードがあり、entrance及びOrient Express Limited Specialと見える。
 入り口から分けてある。しかも宮廷用。破格の扱いである。
「ありがとう」
 彼女はもういい後は自分で、の意で言ったのであったが、しかし、ポーター氏はそのまま表示板のある入り口から中へ。
「こちらのお嬢さんがご乗車だそうだ」
 エントランス内にはチェックインカウンターが設けられてあり、濃紺の制服を着た男女の係員がそれぞれ一名。但しオランダ鉄道の制服ではない。
 ポーター氏が話しかけたのは、メガネを掛け、ブロンドを後ろで丸くまとめた女性の係員。
 メガネの女性は頷き、彼女へ目を向ける。
 目が合うと、ハッとしたような表情を見せ、カウンター下を覗くような動作をした。乗客名簿と照合であろう。そして同席の男性に何事か。
 男性が軽く頷いた。
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(つづく)

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