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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【78】

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 対し、星を見るためだけに寝転がっているというのだ。それは天体観測の流儀なのかも知れない。世界一般にそういう物なのかも知れない。ただ、ただ、この青年の有様は余りにも無防備に過ぎる。
 まるで自宅庭先にいるような風情雰囲気。
 日本とは、こういう国か。
 青年が何事か気付いたか、驚いて半身を起こす。
 寝袋から手を抜き出して携帯電話を操作。服装はジャージの上にキモノ(はんてん)。
『本船を見られたのか?』
『いえ。ただ、流星が本船によって一旦見えなくなり、また出て来たので驚いているようです。透過シールドも突発現象には対応できませんから』
 船長と副長の会話があり、モニタが何やら文字を映し出す。CDMA、解読中とまず出、次いで日本語が並んだ。
『レムリア読めるか』
「あ、はい」
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投稿者:あいはらまなぶ
住所:江戸の外れ
観測時刻:12月12日午前1時53分
概況:火球ではありませんが、発光-消滅-再発光した珍しい流星を観測。群。2等。ポルクスよりいっかくじゅう-消滅-ともにて再発光-地平線下
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 あいはらまなぶ、なる人物が、珍しい流星が見えた旨、携帯電話を用いて情報サイトに投稿を行ったのであった。
 この彼なら大丈夫。
 投稿を見て次の瞬間紡がれた思惟がそれ。
 なぜ、その感覚が生じたのか。なぜ、そう思ったのか、レムリア自身良く判らない。
 ただ、このプロジェクトへの参加を決めた時と同じような判断が自分の中でなされ、この決断が追々プロジェクトに必要になって行くとも感じた。原因による結果ではなく、結果の方が先に来た。
 運命が、選択肢のみならず、決定権までを行使する瞬間があるというなら、今がまさにそれらしい。
 それは、地球が動き出すような大きな認識。
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(つづく)

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