アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【97】
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異常な男達は、人工的な蓋のそばに立ち、そこから中をのぞき込んだ。
地面の下に広がるブルー。
『空、じゃねぇな』
ラングレヌスの呟き。
船の画面全てが、警告の赤で塗りつぶされた。
着色を解除すると、文字だけが残る。人跡未踏の秘密の湖のような映像の中、高温注意、および、高濃度の放射線。
「チェレンコフ光。これは水で出来た原子炉だ」
シュレーターが言った。
「ウラン鉱山と言ったな」
「ええはい」
レムリアは答えた。
「鉱脈全体を水で包み込んだのだ。ウラン鉱脈が卵の黄身、水が白身というわけだよ。プルトニウムでも生産してるんだろ。蓋はその卵の殻さ」
『それは、天然原子炉の条件を人工的に、ということか』
アルフォンススが口を挟んだ。レムリアが説明を受けるのはずっと後であるが、太古、地球上にはウラン鉱脈を地下水が取り囲んだ結果、継続的に核反応が生じる条件が整った〝天然原子炉〟が構成されたことがある。
「そうだ。被曝の危険さえ誰かに押しつければ、水を流し込むだけだ。技術も資材もいらん。効率は悪いが、確実だ」
シュレーターの声に重なり、双子のどちらかの声がイヤホンにボソボソ。
『簡単に口を割ったぞ。医者達はこの池の地下10キロ、プルトニウム抽出工場だ。但し逃がしたぞ』
命の保障と引き替えに聞き出したらしい。10キロ。レムリアのテレパシー能力の限界を超える。
対して。
「私なら……のはずですが。感じ取れません。放射能や大量の水が影響しているのでしょうか」
セレネは困ったように言った。
『まぁ追求は今はいい。問題はどうやって行くかだ。人質取られた要塞攻撃は難儀だ』
アルフォンススは溜息をついた。
レムリアに訪れる。それは天啓。
「私が行きます」
『なに……』
アルフォンススだけではない。メンバー全員の驚愕と呆れた感情を受け取る。
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(つづく)
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