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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【62】

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「INS始動」
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・INS:Inertia Neutralization System。慣性力中和装置。
 一般に乗り物が加減速を行うと、応じた力を身体に感じる。これを慣性力というが、当然、大きすぎれば人体は潰れてしまう。この慣性力を相殺する装置である。アルゴ号では加速度が100万G(地球重力の100万倍。加速開始1秒で秒速9800キロに到達)に達するため搭載した。要は操舵室部分を高速回転させて生じる遠心力を使う。操舵室出入り部の扉が頑健なのもこれに伴う。
※以下研究者向け:遠心力利用は連続直線加速には不向きであるため、代替に非常に大きな加速力を持たせ、所要となる加速時間を極端に縮めた。目標速度が大きい場合は瞬時加速を繰り返す。
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「透過シールド作動。フォトンチューブ確立確認。リフレクションプレート展開固定」
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・フォトンチューブ
光圧シールドは特に船体前後方向に長く伸びた形で形成される。これは早期に進路妨害を排除するため、及び大気圏内での衝撃波発生防止のためである。結果シールドの制圧範囲はチューブの形状を持つ。これを称してフォトンチューブと呼ぶ。
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「全機能動作正常確認。起動シーケンス全完了。副長復唱せよ。アルゴ発進」
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 以上全て動作して飛行するその姿は、光と共に疾る流星そのものと何ら変わらない。
 そして、チューブを形成していた光子達こそは、流星痕のように金色の光の粉となり、次第に拡散し、消えて行く。なお、PSCとリフレクションプレートの説明は、本文で記述済みであるため、省略した。
 イヤホンマイクがピピッと電子音を鳴らした。
 外国テレビの混信のように、意識にフラッシュで送り込まれる映像数葉。
 溺れている?
「救難要請をキャッチ」
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(つづく)

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