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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【28】

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 列車の性格上、サロン車の人々は多国籍であった。
 都度、彼女は言語を変え会話を楽しんだ。次々繰り出される異国の言葉に人々は非常な瞠目を示した。
「殿下は一体いくつの言葉を」
「12、です」
 集った上流階級が大きくどよめく。大体、この列車に乗ってくるような地位の人々は、母国語以外に英語位は当然で、フランス語あたりを〝たしなむ〟場合が多いだろう。12という数は、そんな人々ですら大いに驚かせた。
 内訳は以下の通り。英仏独露、住んでいるオランダ、スペインにポルトガル、イタリーに、これは現世言語と異なるがラテン、後はギリシャ、アラビア、そして、日本語。
 EFMMで活動する分には、英語と、医学用語に多いドイツ語が判れば充分である。しかし、彼女はその活動先で現地の、特に子どもとお喋りできればと、多くの言語を身につけた。選択の理由は、第一に多く使われていること、そして過去、植民地支配を展開した列強の言語。
 EFMMのような団体を必要とする国の多くが、そうした列強支配によって搾取され、その故に経済発展が遅れたという背景があるからだ。
 不安と背中合わせの子ども達と、せめて笑顔で会話できたら。……最も、それよりも外交的に役立つ方が、今のところは多いのだが。
 ただ、中で日本語を選んだ理由は他と異なる。その国だけでしか使われていない。にも関わらず獲得した背景には、少し書いたが、かの国に対する憧れがある。
 何より平和な国。
 顔立ちが自分と似ている人々が住んでいることも、親近感を抱かせる。
 のほほんとしすぎという悪口を書くメディアもある。でも、本当はそれが人としてあるべき姿のはずだ。また、それは災害や戦役の現場と逆であり、だからこそ学ぶ内容がある。そんな気がする。
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(つづく)

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