アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【125】
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「逃がすか魔族!闇の手先は闇へ帰れ!」
ちありちゃんパターン通りに動いて決めポーズ。魔族レムリアを追う一方、男の子達がシスターの身の安全を確保。
必殺ビームを喰らって爆発するわけにも行かないので、可愛くて勇敢な追っ手が中庭にみんな集まったところで種明かし。
「あ~参った。これで勘弁してくれ~」
魔女のとんがり帽子を脱ぎ、くるりと裏返すとお菓子山盛り。
キバも外す。
「あ、魔法とお菓子のお姉ちゃんだ」
「なーんだ。え?」
正体のバレたレムリアに対して、俄然注目が集まるちありちゃん。
「こっちのお姉ちゃんは?」
「でも、ヴァルキューレはマンガだぞ」
理性的な分析有り。
すると。
「このお姉さんは、当院に一度来たことがあるのです。元気になりました、と私たちにご挨拶に来てくれたんですよ」
シスターが種明かし。
「なーんだ」
その時。
「お姉ちゃん、ママの所へ帰れたの?」
その場が静まりかえる。過冷却の水が、軽い衝撃でさぁっと一気に凍りつき、結晶が走る有様に似て。
ちありちゃんは突然の変化にハッと驚き、戸惑いからか、目を泳がせた。次いで、幼くストレートな質問の翻訳を聞き、静まりかえった意味を知ったせいであろう、顔色を変えた。
ここは孤児院である。
ママ、母親という言葉の重さ。
「うん」
ちありちゃんは慎重と言える間合いを持って頷き、ゆっくりと、まばたきしながら少し考え、そして。
再び目を開いたその姿に、今度はレムリアが衝撃を覚えた。この149センチの身体がビシッと音を立てたかと思うほど。
ちありちゃんの、黒く輝く双眸と、その身の周りに放たれる光。
満ちあふれて包む光。
オーラライト(霊光・後光)が自分の能力で視覚化されているのだ、ということはすぐに判った。自分の能力上、それは見えても不思議ではない。
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(つづく)
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