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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【68】

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『下船完了。幸運を祈る』
「了解。潜航開始」
 甲板2人の声を受けて船が潜航を開始し、レムリアのコンソールで画面が忙しく動く。潜行モード。水中移行表示。水深。ソナー動作開始の表示。前照灯。
 正面スクリーンに裏返しになった船が映される。基本的に陽光が届く深さであり、船のライトも当たっているが、やはり影になっているところは暗く不鮮明だ。ただ、その部分は簡略CGのような画像で補填され、輪郭が把握できる。画面の表示によれば、ソナーの反応から画像に起こしたようだ。水面下にある甲板ハッチは閉じられたままと確認できる。
「水圧で保持されているようだ。船ごと持ち上げる。シュレーター本船を下へ回せ」
「了解」
 船が水中を移動し、甲板部分を裏返しになった船の下へ差し入れる。
「そのまま浮上せよ。重心偏倚(へんい)による船体バランス変化に注意」
「了解」
 シュレーターが舵と出力を操る。船が揺れる。程なく。
「船長。向こうの船が浸水で持たない。このまま持ち上げれば船体が折れる」
 浸水した船を持ち上げると、船自身と、その中に入っている海水の重さが船の骨組みに加わる。
 アルフォンススは頷き、
「了解。舵は指示あるまでホールド。以降副長代行せよ。レムリア、ハッチから目を離すな」
「判りました」
「了解」
 答える背後をアルフォンススは横切り、操舵室を出た。
『シュレーター、そのまま上がれ』
 無線を介して船長の指示。
「了解」
 船が少し上方へ動く。
『アリスタルコス聞こえるか』
 アリスタルコスと通信するためには、船体の一部を水上へ出し、電波のやりとりを可能にする必要がある。
 少し雑音。
『船長……ああ、上がってきた。これ行けるのか?』
. 
(つづく)

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