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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【58】

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「レムリア。船底カメラ画像を正面スクリーンに展開せよ」
 アルフォンススの指示。
「はい」
 見ると、3面ある液晶モニタのうち、右側モニタ画面は6つに分割され、その中に〝船底カメラ〟の文字の付いた画像がある。
「タッチペンで触るんだ」
 シュレーター。言われた通りにチョンと触ると文字が出、カメラを動かすか、映す先を変えるのか(move or screen)、と訊いてきた。映す先を触ると、リストが出てきて一番上に〝メイン〟。
 メイン、の文字に触れると正面スクリーンに出た。
 それは、テレビで見た宇宙中継を思わせた。スペースシャトルにテレビカメラを持ち込み、延々地表を映し続けたものだ。但し今見ているこちらは相当な〝早回し〟ではある。最初に視界に収まったアラビア半島は既に画面下方へ去り、インド洋が陽光に光り、煌めきながら、スクリーン全体を青く染める。
 時々白い塊が目にも止まらぬ早さで画面を横切る。それは目の前画面の〝船首カメラ〟と見比べたら雲だと判じた。雲が船底カメラのすぐそばを横切る時、画面が一瞬白くなるのだ。
「巡航。探査自動航行確認。INS解除」
「INS解除確認」
 アルフォンススにシュレーターが答える。
 わずかな電磁音が操舵室の無音を遮った。〝乗り物に乗っている〟感覚が戻る。
「では、わたくしは探査に入ります」
 セレネの声が聞こえ、彼女が副長席ベッドに仰臥するイメージがテレパシーで飛んできた。
 どうやらセレネは自分にテレパシーを同調させているらしい。一心同体というヤツだ。この手の活動で重要なのは〝発見〟であり〝ピンと来る〟だ。テレパシー経由であれば、この辺を共有でき、次のアクションに移るのが早くなる。船を直接制御可能、であれば、なおさらであろう。
 超能力と先端科学の連動。のみならず、そのシナジーとして得ようとしているものは、形而上の次元に属する。
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(つづく)

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