« アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【60】 | トップページ | アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【62】 »

アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【61】

←前へ次へ→
.
・容量……残容量……
 宇宙航行用として、最大40キログラムの反水素貯蔵を想定している。但し、現段階で実用化できたのは100グラム貯蔵ユニット1基のみであり、これで運用。前述25日で生産蓄積できる反水素質量10グラムを〝満タン〟として容量管理している。なお、質量単位は間違いではない。反水素1ミリグラムで標準的なロケットエンジン燃料1トンに相当するエネルギが得られる。
※以下研究者向け:反水素は電気的に中性であることから、電磁場による貯蔵・制御がしにくい。このため、電子と陽電子の対消滅タイプ光子ロケットも開発中。
. 
「アリスタルコス。防御システム」
「光圧シールド甲板部動作。作動良好」
「よろしい。透過シールド準備。副長PSC状態報告」
. 
・防御システム(光圧シールド)
 生成した光子を推進以外に船体周囲に噴射し、妨害物を〝光の圧力〟で押しのける、言わば光のバリア。これは超高速航行では〝障害物を目で見て回避〟など不可能であるため。
. 
・透過シールド
 電磁的・光学的クローキング(cloaking:迷彩)システム。光子……すなわち電磁波であり、光である。これより、レーダに反応しない、更には〝見ても見えない〟とするのは容易。なお光学クローキングは透明化するのではなく、〝船がなければ見えるはずの風景〟をテレビと同じ原理で投影する。目的上必ず光圧シールドと併用され、総じて透過シールドと称する。
. 
「フォトンハイドロクローラ始動。主コイル、前段加速器温度所定。機関準備ヨシ」
. 
・フォトンハイドロクローラ(Photon Hydro-Crawler)
 クローラとはいわゆる〝キャタピラ〟と同意。光子を直接噴射推進するのが不可能な状況で、空気や水など流体を光子圧力で加速噴射して推進する補助推進装置。地球上では主として船体の垂直浮上・降下時に用いる。すなわち空気圧で浮上して光子ロケットに切り替え、静止して空気圧降下する。これは、強大な光線を噴射すると周囲を傷つける恐れがある場合に用いられるシーケンスである。なお、補助推進装置としては他にソーラセイルを装備。マストに付いている〝工業製品の趣を漂わせる帆〟がそれである。
. 
(つづく)

|

« アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【60】 | トップページ | アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【62】 »

小説」カテゴリの記事

小説・魔法少女レムリアシリーズ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【61】:

« アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【60】 | トップページ | アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【62】 »