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アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【51】

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 尚、船は基本的に高高度(こう こう ど)を巡航し、地球を1周約12分のペースで周回する。この周回パトロール航行、発見後の急行はPSCによる自動制御。現場に近づいた後は全員で対象者を探索し、シュレーターの舵に委ねる。
「それこそ神話のアルゴみたいに、でかい舵輪でも付けといた方が格好良かったかい?3次元コントロールだからゲーム機のレバーみたいにしたが」
 シュレーターがにやりと笑う。コンソールの中央に、それこそゲーム機のジョイスティックを思わせるスティックレバー。舵である。舵の左右には、飛行機のエンジンスロットルを思わせるバーハンドルが1本ずつ。スティックで上下左右を指示し、バーハンドルで速度を変える。ハンドルは左右どちらでも速度制御が可能。同時に使うとアクロバット的な飛翔が出来るとか。
「まぁ、お前さんが舵を取ることはないと思うがね。知っておいて損はあるまい。さて私にお鉢が回ってきたところでついでだ。この船に乗り組む以上、巡航パトロール中は乗組員としての任務を持ってもらう。種類は大きく二つ。船自体の管理と監視、船の周りの管理と監視だ。対消滅光子ロケット(ついしょうめつ こうし ろけっと)と言って意味が判るか?」
 ロケット、は判った。その前は意味不明。
「いえ、ちょっと……」
 ここは教えを請うべきなのか。それとも……
「了解。では監視員を依頼しよう……」
 シュレーターはあっさり言った。自分に説明するのは困難な極めて難しい技術のようだ。
 任務の説明に移る。監視といっても主たる目的である遭難者の発見はセレネであるが。
「高高度とはいえ空中を飛ぶ。このため他の飛行物体との遭遇、それから変な話だが宇宙から何かが飛んでくるような場合もあるかも知れない。意思あるものは副長が見つけるが、意思なきものを見つけるのは意思持つ人の目しかない。向こうからこちらは見えないしな。それを我々が分担して行うわけだ」
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(つづく)

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