アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【116】
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レムリアは納得し、読み続けた。その内容は作中にて殆ど紹介したので省略するが、救助支援機器……銃として、プラズマガンも搭載していると追記しておく。要するに電気化学的に火の玉を生成して高速で射出するものだ。これら4種の銃器の主用途は、ビームによる〝穿孔〟〝切断〟。弾丸による〝粉砕〟〝破壊〟。そして火の玉による〝溶解〟〝焼却〟。アルフォンススの専用機FELによる〝光の弾幕〟形成となる。船自体に砲火・大火器の類は搭載していない。
なお、SCADAとは、Supervisory Control And Data Acquisitionという産業用のプラント制御の仕組みを指す専門用語で、同じ概念でこの船の制御系も組まれている。これは、多くの自動制御系と、それらを束ねて指示を出す脳に当たる部分を持ち、更にそこから人間が介入できる。
「それで?……」
メンテナンスのページまで来たところで、寝言のように相原学は言った。
仰向けになり、目を閉じたまま。
「え?」
「この船に乗って、君は何をしてるんだい天使さん」
『構わん』
アルフォンススが一言。
すなわち、話しても良い。
そしてそれは、この間感じた認識を呼び起こす。
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相原の存在が大きくなりそう。
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「奇蹟の天使を手助けするために」
地球を巡って降りた話を、レムリアは語って聞かせた。
相原学は都度都度で、一言二言感想を挟んだ。
「奇蹟を起こして人助けか。いいな、そういうの。話のネタにしていいかい?」
「え?」
「物語にまとめてみたい」
その言葉で、レムリアは彼の〝彼女〟が、少なくとも彼の本質を見抜いてはいなかった、と直感した。
失恋ショックによる退行現象も多少は含まれているかも知れぬ。ここにいるのは「正義でありたい」という男の子普遍的な憧れを抱いたままの、割れ砕けた水晶のゲシュタルト。
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(つづく)
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