アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【94】
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超感覚が反応。
「えっ」
「あ」
それが〝殺意〟であること、及び、同じ認識をセレネが持ったことを同時に掌握する。
刹那の後、銃撃を受ける。自動小銃、いわゆる機関銃による側方からの狙撃であり、乾いた連続発射音の後、ラングレヌスの身体が左右に小刻みに揺れる。
彼の身体に着弾したのである。ガムの噛みカスのような物が幾つか、彼の身体の傍らに無造作に転がる。変形を受けた弾頭である。
『船長、反撃良いか』
彼はまるで他人事のように許可を求めてきた。戦車でも操縦しているかのようだ。
「そのまま行け。攻撃の火の元に敵の本拠がある」
『囮了解』
それは、彼が進むのをやめないならば、敵は次々攻撃者を送り出さねばならないであろうの意味。更に言うと、その攻撃者は前哨で足りないならば、本拠地から出てくることになろうという意味。
よって敵の本拠をあぶり出せる。
程なく、行く手タイヤ痕の向こうから、銃というには大がかりな武器を抱えた兵士が二人。
抱えているそれは、ゲリラが野戦病院を襲撃するのによく使うため、レムリアにも何なのか判った。
一応カーソルを合わせ、船に識別させてみる。
思った通りである。肩に担げる小型ミサイル、スティンガー。
「アリス!」
『甲板だ。射程に入り次第落とす』
彼の声はイヤホンから届いた。レムリアが画面をいじっている間に操舵室を出、甲板に出たらしい。
「撃って来ます」
これはセレネ。程なく、カーソルを当てたそれが火を噴く。
後方へ炎と煙を噴き、ランチャーからミサイルが離れ、加速を開始。
煙が弧を描き飛んでくるミサイル。
レムリアの画面に何か文字。そのまま読み上げる。
「シーカー(目標捜索装置)作動を探知」
「逆照準……アリス行け」
画面の動きを書けば、ミサイルが搭載していた探査装置の出所を船のコンピュータが逆探知、アリスタルコスのレーザガンの照準をミサイルへ誘導。
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(つづく)
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