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2013年11月14日 (木)

アルゴ・ムーンライト・プロジェクト【93】

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「了解。その場で動きを待て。レムリア、この兵士の過去の動きを探る。マイクロ波SAR用意」
「はい」
 ラングレヌスの報告に対し、アルフォンススがレムリアに言って寄越す。
 自分に言うからには探査装置の名前であり、画面を操作して探す。シュレーターの説明によれば、良くは判らないが、輪郭が強調された画像が得られるレーダだという。マイクロ波は電波の種類であり、SARは合成開口レーダの意(synthetic aperture radar)。
 当該レーダを見つけ、メニュー上でカーソルを合わせてクリックしたら画面がモノクロになった。
「えっ」
 間違えたかと思ったが、そうではなかった。
 兵士の脇から、土に描かれた筋が浮かび上がる。
 車のタイヤ痕である。〝輪郭が強調〟された結果、抜き出されたのだ。
 メンバー達は車で連れ去られたのか。
「ラング、バーチャルを使え。タイヤ痕を追う」
『了解』
 ラングレヌスは答え、女性の髪飾り、カチューシャに似た器具を取り出し、カチューシャ同様に頭に装着した。但しその〝カチューシャ〟からは顔の前にアームが伸びており、右目の前に小画面がセットされる。
 ラングレヌスはその姿で振り返り、船のカメラに見せて寄越した。彼の小画面に船内のモノクロ画像が伝送され、同じ画像が見られるのであろう。
 タイヤ痕に沿って進む。沿って幾人か兵士が倒れており、いずれも脇を通るたびに船内画面に警報が出る。いずれも船の側に頭を向け、俯せに倒れており、例えば背後から放射線を浴びて倒れたとするなら、向きが揃っているのは理解できそうだ。少なくとも何らかの核事故が起こった、とは確実に言えそうである。
 だとしたら……レムリアが気になるのは、メンバーもそうだが。
 危険な作業に従事していた地元の人たちは?
. 
(つづく)

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