【妖精エウリーの小さなお話】けだもののそんげん-10-
今回は違いました。
人間さんのサイズで、同様にtogaを纏った姿で立って待っておられました。
身長はすらりと高く栗色の長い髪の毛。私は人間サイズで170センチあるのですが、その私が見上げる程の背丈。実数値に起こすことは失礼かも知れませんが、イメージのために敢えて書けば2メートル近くあります。そして、その、面持ちは、不思議な感想になるかも知れませんが、満月の輝きの如く。
「大変な思いをしましたね」
ガイア様は膝を折り、腕を広げ、犬猫達をお迎えになりました。
それだけで全部を把握されたようです。犬猫達を両腕に抱えて立ち上がります。
犬猫7匹を一度に。この際、犬猫達の身体のサイズが変わったのですが、ガイア様の腕の中にあって何故かを問うのは野暮というもの。
「エウリディケさん」
「はい」
「いえ、拝跪の姿勢は不要です」
片膝突こうとする私を制し、ガイア様は言いました。
そういう儀礼などどうでも良い……事態は深刻。
私は気付いて顔を上げました。
「恐ろしくおぞましいことが生じています」
送られてきた“ビジョン”は衝撃という次元を越えた内容でした。
勇気を持って書きます。死んでしまった、或いは病気等で商品価値の無くなったペットを“エサ”に加工している工場なのです。
「人間同様に弔ってあげたい。そういう気持ちに乗じた悪徳な業者も結託しています」
ここで人間の皆さんに一言申し上げておくとすれば、ペット販売、および葬儀墓地を運営する企業はよく調べた方が良い、でしょうか。採算悪化でペットを放置し夜逃げ、などのニュースはまま見聞きすると思います。
私は拳をギュッと握りました。皆さん看過できますか?
“いいえ”ですよね。
「暴きなさい」
ガイア様は一言おっしゃいました。
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