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【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-09-

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「そりゃお前、下心はあったさ。でもギラギラしてればあっさりバレる。それだけってのは女の子感づくもんだ。大体お前、女の子と付き合うって“それ”だけか?」
 父親の真意はさておき、そのセリフは相原の視点を少し変えた。そもそも生理は“命のシステム”の一部のはずだと。
 友人達が“それ”だけを求めて下世話な雑誌を鼻息荒く読み回す一方、相原学は図書館へ向かった。図鑑を見るのが好きだった手は自然とそのワンランク上、学術書に伸びた。生物、医学、看護。
 得た知識は……彼自身予想外なことに、考古・天文・地球物理学と有機的に結合した。

 

 壮大な地球生命38億年の歴史が燦然と姿を現したのだ。

 

 こちらは少し解説を加えたいと思う。地球生命は少なくとも38億年より以前には既に存在したことが判っている。多細胞生物となり、顕微鏡レベルを脱するのは6億年前ごろからである。その間、約30億年。生物は母なる海に抱かれ、たゆたい、しかし確実に全地球へ広まって行った。生命が地球上一カ所で生まれ拡散したのか、似たような条件を備えた各所で生まれ、混交を繰り返したのかは定かではない。ただ、追って多細胞生物へ進化する礎となる、“異なる生命同士の出会い”は、確実に繰り返されたものと見られる。その一つの証明が、細胞中に取り込まれたミトコンドリアである。ミトコンドリアは諸生物細胞中に共通にあって代謝を担い、所要のエネルギを産出するが、ミトコンドリア独自のDNAを有する。これは、ミトコンドリアが元は別の生命体であったことを意味する。
 一方、深海調査等の成果から、原始生命は深海底の噴火口など、非常に条件の限られた場所でのみ生息したことが判っている。従って、深海レベルに達するダイナミックかつ高速な海水移動が生じないと、原始生命同士の接触はあり得ないはずである。しかし、現在観測される深海水の動きは非常に緩やかであり、生命間接触を生じさせるエンジンとは考えにくい。実際、現在も原始のままで残る生命は、その生息場所から動いていない。

 

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