【妖精エウリーの小さなお話】けだもののそんげん-15-
〈ああ、久しぶりですこの感じ〉
抱きしめられた老犬が言いました。名はケンタ。主人氏が孤独死し、行く末を感じた近所の人が逃がしたのだとか。
出発の儀式のように、ハグが一通り終わりました。
動物たちは準備はできた旨の意思を送ってきました。
さぁどうしましょう。行くにせよ。具体的な作戦が必要です。
「ここは基本、死んだ動物か、死なせることを前提に動物を運び込みます」
対象を声出し確認しながら念動力のチェック。大したパワーはありません。右腕を持ち上げ、拳を作り、見えない何かに手の甲を向け、その手の甲を叩き付けるように振り下ろすと、アスファルトが銃弾受けたように衝撃し、クレーターが生じて煙。
“力の塊”を出せると書けば判りよいでしょうか。
動物たちは一様に大きな驚きを見せました。
〈妖精の怒りの魔法〉
ネコの表現。
「そういう名で伝わっているならそうしておいて」
魔法。
死ぬが前提、そこに、魔法を持ち込む。
ナイアデスが花咲くように笑顔を見せました。私に訪れたアイディアの中身を見知ったのです。
「ここは基本、死んだ動物か、死なせることを前提に動物を運び込みます」
今度は動物たちに説明するために。
「なので、生きている動物が、存在してはならない場所にいれば、応じたパニックを作り出すことが出来ます。まず、それをみんなに協力してほしい」
〈殺したはずの奴が生きてる……怖がるだろう。走り回れと〉
「そうです」
提案に、動物たちの意識が青い色を見せます。ただ、それは青ざめるの意味ではなく、むしろ高温の炎が見せる青に同じ。
静かだが強い、言わば義の力。
〈我々に出来るのであれば〉
「ありがとう」
決まれば作戦を練ります。まず、全容の把握が必要でしょう。
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