【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-11-
後はダーウィンで説明できる。月のリズムを持つ物が選択的に生き残って行ったのだ。サンゴの放卵、カニの繁殖、そして人体。際立ったバイオリズムである女性の生理は、偶然の一致ではなく、太古より連綿と引き継がれてきた地球生命基本原理の発露、命のリレーの凝縮された一つの側面と言えるのだ。そして、人間が他の哺乳類……身近にはイヌ・ネコ、同様な霊長類であるサルなどに比して、毎月必ず受胎の機会を持つのは、種の維持にそれだけ多く機会を持つ必要があった、非常に死亡率が高かった裏返しに他ならない。異常に脳神経系の発達した人類は、その方面のダメージが容易に死に直結するのである。
この認識は当然、相原学に女性観の転換を迫った。すなわち、38億年続く、地球生命のリレーを経た結果、女性という存在は人間という生物種におけるその最先端に他ならず、初潮とはそのリレーのバトンを持った、という意味なのだ。
その認識は、エジプト王朝が女系であったこと、ミトコンドリアDNAが女性のもののみ継承される、といった背景と結合し、平塚らいてうの“古来、女性は太陽であった”というフレーズに収斂した。その言葉はそれこそ太陽の如く、燦然と、彼の意識に焼き付き輝いた。女性とは“地球が選んだ”生命の継承者であり、故のバイオリズムなのだ。
最も、この観念は彼の恋愛対象を複雑にし、アプローチの手段タイミングを大きく変えた。彼の場合、まず、“下手な鉄砲”で、話はそれから、と言って良かったが、一転、声を掛けるのも容易でなくなってしまった。また、どちらかというと静謐でたおやかな気配漂わす女性を好むようになった。それは見いだした巫女性、神秘性に通ずる雰囲気を求めたのかも知れない。
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