【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-17-
「好き……って言ってくれたよね」
言いづらい。
「はい」
相原即応。
「愛してる。って意味だよね」
今度は意外にスルリ。
「はい」
「女の子を可愛がる、じゃなくて、女性に対する恋愛感情って意味だよね」
「そうです」
相原は正座不動で即応を続けた。あえて言うなら、都度頷きながら、という程度だ。多少照れても良さそうなものだが、その段階は彼の中でとっくに過ぎている……とテレパスが教える。
むしろ結果に憂うこと無く、堂々と口に出来る段階に達していると言える。
今さっき聞いたのがそうであったように。
この二人出会って1年半。その旨意思表明して半年。23歳が14歳に言うには社会通念上、倫理的な問題もあろうが、二人とも特にそれを壁と認識してはいない。但し、認識していない理由は彼我で異なる。
彼女は、まばたきを、ゆっくり、3回。
「無理して言わなきゃ、って思わなくていいぞ」
「そんなことは……」
彼女は反射的に答え、相原は判っているんだと理解する。そう、彼女はまだ、彼に対して正面からの回答をしていない。
歳の離れたいとこ同士のような関係。それは自分達共通認識だろうと確信している。
こうして彼の家を別荘同然に訪れ、
一緒にボランティア活動したり、
一緒に秋葉原を始めとする都内各所、レジャー施設、博物館。
世の中は男女で楽しむそうしたお出かけをデートと呼ぶのだろう。
気がついたら手を繋いでいたり、抱きしめて慰められたことも幾度か。
そして何より、彼は命がけで自分を救ってくれた。
で、お断りします?
キライ、では無いと思う。それは確信を持ってはいる。ただ、だからってこの気持ちが恋心、なのかどうかは判断が付かない。
恋を知らないから。
知らないから、適した回答を持たないのだ。それが彼を裏切るような気がして“怖い”のである。この“1万キロ離れたいとこ”みたいな毎日が崩れるのが“怖い”のである。この気持ちは言われるような恋のパターン……胸が熱くなる、ドキドキする、ずっと彼のことばかり考える……ではない。
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