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2014年2月22日 (土)

【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-17-

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「好き……って言ってくれたよね」
 言いづらい。
「はい」
 相原即応。
「愛してる。って意味だよね」
 今度は意外にスルリ。
「はい」
「女の子を可愛がる、じゃなくて、女性に対する恋愛感情って意味だよね」
「そうです」
 相原は正座不動で即応を続けた。あえて言うなら、都度頷きながら、という程度だ。多少照れても良さそうなものだが、その段階は彼の中でとっくに過ぎている……とテレパスが教える。
 むしろ結果に憂うこと無く、堂々と口に出来る段階に達していると言える。
 今さっき聞いたのがそうであったように。
 この二人出会って1年半。その旨意思表明して半年。23歳が14歳に言うには社会通念上、倫理的な問題もあろうが、二人とも特にそれを壁と認識してはいない。但し、認識していない理由は彼我で異なる。
 彼女は、まばたきを、ゆっくり、3回。
「無理して言わなきゃ、って思わなくていいぞ」
「そんなことは……」
 彼女は反射的に答え、相原は判っているんだと理解する。そう、彼女はまだ、彼に対して正面からの回答をしていない。
 歳の離れたいとこ同士のような関係。それは自分達共通認識だろうと確信している。
 こうして彼の家を別荘同然に訪れ、
 一緒にボランティア活動したり、
 一緒に秋葉原を始めとする都内各所、レジャー施設、博物館。
 世の中は男女で楽しむそうしたお出かけをデートと呼ぶのだろう。
 気がついたら手を繋いでいたり、抱きしめて慰められたことも幾度か。
 そして何より、彼は命がけで自分を救ってくれた。
 で、お断りします?
 キライ、では無いと思う。それは確信を持ってはいる。ただ、だからってこの気持ちが恋心、なのかどうかは判断が付かない。
 恋を知らないから。
 知らないから、適した回答を持たないのだ。それが彼を裏切るような気がして“怖い”のである。この“1万キロ離れたいとこ”みたいな毎日が崩れるのが“怖い”のである。この気持ちは言われるような恋のパターン……胸が熱くなる、ドキドキする、ずっと彼のことばかり考える……ではない。
 

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