【妖精エウリーの小さなお話】けだもののそんげん-23-
ガス室扉の操作パネルがスパークし、発煙します。
警備員がそこを見、ギョッとした顔。
そこには犬がいます。正確に言うと犬の背中に私がいます。犬に歩いてもらい、通りすがりの機械を片っ端から壊して行きます。こっちの通信中継器がパンと破裂して発煙。そっちの機械がエラーでピー。
「し、死んでない」
警備員の片方が言いました。警棒持つその手が震え出します。
もう一人の警備員がものすごい勢いで片方氏の顔を見ます。
「……バカな、バカなこと言うんじゃねぇよ。お、応援を呼ぶ……」
腕に装着された無線機。
そこへ口元を近づけようとしたところをネコがひっかきます。
続いて犬と私が通りすがり、衝撃波が無線機を破壊。
「ううわ加藤!お前……」
その呼ばれた側の加藤なる人物……片方氏は同様に無線機に呼びかけようとし、凝固。
死体山積みのコンテナの中からかき分け出てくる犬たち猫たち。
そしてネズミ。
ネズミに威嚇させます。懐中電灯に光る赤い瞳、剥き出しの前歯。
「くそっ!」
加藤なる人物は踏み潰そうとしたようです。しかし足を上げた瞬間にネズミたちが飛びかかる。
「うわっ」
但し、ネズミたちには、危害を加えよ、としたわけではありません。加藤なる人物が躊躇したタイミングで無線機破壊。
最初に無線機を壊された警備員が走り出します。
「佐藤どこへ!」
「応援を呼んできます」
「く、くそっ」
一人残された加藤なる人物も走り始めます。でも私たちにその行方は興味ありません。
充満する油のニオイ。
フォークリフトのそれが相応に漏れて溜まった。
「悪いけど破壊します。このおぞましい」
私は言いました。姿は小さいまま。
が、私の声聞こえたようです。加藤氏立ち止まりました。
「な、何だと?どこにいやがる!」
「離れて。さもなくば知りません。さぁみんなは集まって」
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