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【妖精エウリーの小さなお話】けだもののそんげん-28-

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 発電には燃料を使うでしょう。その燃料は多いでしょう。
 その結末は今のだけでは終わらない。
 自分たちが逃げるだけならテレポーテーションで一発ですが。
〈おや、連れて行くん……ですか?〉
 私の意志を読んで犬が訊きました。
「ええ。死なせたら体の良い口封じに使われるだけ。罪を感じて自殺した、とかね。組織自体は残ってしまう」
〈なるほど〉
 リクラ・ラクラ・テレポータ。
 
 
 社員もろともトラックエレベータまで連れ出したその直後、大きな音を立てて地面が揺れ、背後一帯が陥没します。
 時間は既に夜明け直前。僅かな陽光があり、概況を浮かび上がらせます。そこは大きく土を掘りさげ、大型の貨物コンテナをブロックのように積み上げ並べてありました。後からその壁をくり抜くなどしてプラントを配置したようです。もちろん、そんな大規模工事を人目に触れず実施するのは困難。
 名目は土石流災害復旧工事。
 陥没クレーターで爆発が生じ、がれきを伴った熱風が発生し、上空と四方へ広がり走ります。
 私たちはバリアの中。ナイアデスは動物たちと森の中へ。
 熱風が行き過ぎて間もなく、幾らか火の手が上がりました。が、破壊はしても灰燼に帰してしまっては証拠が残りません。目的は機能を失わせること。私は衝撃波で一陣の風を作ると、誕生日のロウソクよろしく一吹きで消しました。
 ちなみに社員と警備員はオブジェのように固まったままです。逆にバリアの中に封じています。
 ナイアデスが動物たちを連れ、戻ってきました。
「これからもう一度人間との接触が発生するけど?」
 それは、予感というより確信を伴う予知の示唆。
「大丈夫でしょう」
 私は応じました。
「了解」
 社員らを放置し、彼らが勝手に作った道を歩いて行きます。
 私たち白装束の女が2人。
 および、動物たち。
 近づいてくるのはヘリコプター。
 

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