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2014年5月 7日 (水)

【妖精エウリーの小さなお話】けだもののそんげん-30-

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 各人、手にしている得物、外見上は銃器ですが、
「麻酔銃だね。で、気絶したとこロープでくくって枝から下げれば自殺偽装の出来上がり。本物の殺し屋だよ」
 されど彼らは狼狽しているようです。ヘリコプターを破壊された上、最前まで見えていた人影が突如消失したのですから。
 加えて。
「抑えた」
 私は言いました。彼らは暗視スコープを装着しています。それを破壊し、なおかつ、彼らの身動きを拘束しました。空間にピン留めされたように動けなくなります。
 その時。
〈ここは、我々にやらせてもらえんでしょうかね〉
 訊いてきたのは……ここまで行動を共にした面々ではありませんでした。
 クマです。ツキノワグマ。
 そして、その申し出は、危害を加えるという意図ではありません。
 彼らの銃器を取り払う。ただそれだけ。人間が動物に対し、アドバンテージの依拠としている銃器とレーザ、スコープを取り上げるというのです。
〈いいよ〉
 私は許可しました。
 粉骨砕身という言葉があります。かほど努力するという意味の言葉ですが、クマの腕に掛かった人体にも同じ言葉が使えます。クマは多く腕を振るって獲物を仕留めますが、その威力は人体を粉骨砕身状態にします。
 暗視スコープが壊されて闇の中です。身体は何をどうしたか動かせません。そこにクマが来て腕を振り、銃器を叩き落とし踏みつけ、変形させて用なし。次いで目を眩ませる目的であっただろうレーザマーカはひしゃげ、そしてゴーグル型のスコープも、一撃でアスファルトに叩き付けられ、ただのガラクタに姿を変えます。
 “クマに襲われている”と認識したか、股間に失禁のシミを作った哀れな男の顔3つ。
 私はそこで念動の拘束を解きました。しかし、男達は動きません。
 いえ動けないのです。恐怖に凝固・萎縮してしまい微動もできない。
 

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