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2014年6月 7日 (土)

【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-32-

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 前にも同じような逃避行をしたことがある。と、レムリアは思い出した。姫の身分で日本を訪れた際、滞在先ホテルからこっそり抜け出したのだ。その時は誘拐と勘違いされ、こっそり戻るために頼ったのが彼である。ちなみにその際は、国際博覧会が開催されていたため、その送迎バスを乗り継ぐという方法で、都市中心のホテルへ戻った。
 ならば、今度は、この街を知る自分が、彼を助ける番。
 彼のパスポートに、合法的に出国したことを示すスタンプを押させる番。
「このトラム(路面電車)の線路に沿って走ればそのまま駅前広場」
「了解」
 相原はサイレンとクラクションに物を言わせて街路を飛ばす。
 無線が大声。ストップ、GPSトラッキングなどと英語が入っているあたり、自分たちに対する警告。位置バッチリだから逃げられんぞ、そんなところか。
「このパトカーが目撃された。追っ手が掛かる」
「駅までの距離は?」
「あの広告だらけの電車の向こう」
「ああ、見えた」
 視界が開け、レンガの駅舎が両翼を広げる。その姿は東京駅丸の内口駅舎を思わせ、実際、そのモデルになったと言われたこともある(現在は否定されている)。
 一般車を蹴散らし駅前広場に入り込み、パトカーを文字通り乗り捨てて駅構内へ走り込む。
「ここから先は私に任せて。歩いて図書館に行きます」
 レムリアはまず言い、そして続けて。
「駅のそばにあるんだ。良く聞いて。列車の運行は全部ロックが掛かりました。なので当然、駅に探しに来るでしょう。そこでまず、魔法かけさせてもらって、一般観光客になって図書館へ移動します。図書館自体観光名所なので何の不自然もありません。その間に列車を一本チャーターします」
「チャーター?」
 言ってるそばから二人の外見が変わる。フリース姿にリュックを背負った東洋人の男性であり、アニメキャラクターの衣装にコスプレした少女だ。
 

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