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【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-34-

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 騒ぎに背を向け、高架下、線路沿いに歩く。早足になりそうなのを自制しながら。
「その電話ネット検索できる?」
 レムリアは訊いた。相原の携帯のこと。
「当代流行りのスマートホンと相成り。どちらへ?」
 相原が手のひら液晶画面でパスコードを入力、検索窓を開いたら、レムリアは横から手にしてキーパッドをチョンチョン叩いた。
 それを見て相原が目を剥く。
「待て待てチャーターって……そこワゴンリをレストアして運営してるとこだろ?」
 ワゴン・リ。フランス語でありwagons-lits……かの名列車オリエント急行に使われた客車であり、運営していた会社である。ワゴン・リ社自体は列車供食サービスなどで存続しており、客車達は文化財として保存されたり、レストアされて個人所有の観光列車として運営されていたり。
 レムリアは発呼した。以下元の言語は英語。
「あ、オリエント急行をチャーターしたいのですが。メディア・ボレアリス・アルフェラッツという者です……いえ、一昨年になりますか、リバイバル・オステンデ・ウィーン・オリエントエクスプレスの乗客番号02-01。ジェフ・サマーサイド列車長殿はご在社ですか?」
 電話の向こうが大騒ぎになっていることが、機体から漏れる音で相原にも判った。
 その列車に、彼女は王女として乗った。そのせいであることは間違いなかった。普通、王女が列車貸してくれと電話してくる事態は生じない。テレパシーを働かせて曰く、情報が漏洩したんじゃ、いやいや本当に姫君本人なんだ……。
 ちなみに、相原と出会うきっかけも、沢山の冒険も、その列車に乗ったことが全ての始まり。前述、空飛ぶ船の救助隊が彼女の招聘に列車を使ったのである。
 電話向こうが一つの結論に収斂して行く。ジェフ氏に応対させる分には構わないだろう……。
 

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