【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-37-
レムリアは相原を見た。
そう。もう、一人で、たった一人で、この街に住む必要は無い。
この街もあと数時間。ただ、出来れば早めに。
画面リロード。
「あっ……」
レムリアの“気付いた声”は図書館には少し大きく、やや批判めいた周囲の目線を招いた。
「どうした」
「アパート周辺にインタビューが入ってる。謎の少女が街娼をしていたって」
つまり、自分、そういう風に見られていた。
だから、踏み込まれた時も、容疑は彼女だったのである。
「コスプレして……ああ、ごめん、私からバレる……」
幾らか、手持ちデバイスで同じ情報ソースに接していた人もあるかも知れぬ。その“コスプレ”の娘はここにいる。
しかし。その時。
それ以上に衆目の視線を奪ったのは。
図書館の前に突如現れ、横付けされた馬車。
白馬2頭の牽く白い馬車。
それは、リバイバルオリエント急行を降りた時、自分が受けた歓待と同じ。
すなわち、この馬車こそは。
程なく、レムリア見ていたスマートホンがバイブレーション。
「はい」
『馬車を用意しました。図書館に到着しております。いつでも』
二人は動いた。
衆目が寄ってくる。
中には携帯電話を手にする者もある。
立ち上がり、出て行く途中で魔法を解く。今度はその瞬間幾らか見られたようだが、最早どうでもいい。
図書館入り口には、懐かしい風格と微笑み。
列車長ジェフ氏はアフリカ系の黒檀の肌の持ち主。金ボタンの青い制服。立派な体格であるが温和な表情。
「おお姫様。少し大きくなられて」
笑みをたたえた瞳を見開き。
「お願い、すぐに駅へ」
「判りました。さぁ中へ」
パトカーのサイレンが聞こえる。
近づいてくるのを感じる。
ジェフ氏が手招きし、二人は馬車のキャビンへ転がり込む。
パトカーが集団で近づく。
ジェフ氏が御者席。馬に一鞭。
馬車はパトカーとすれ違う。
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