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【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-39-

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 おっかなびっくりの相原を手を取り、レムリアは車内へ誘(いざな)った。低いホームからステップを登って。
 デッキから眺めたその車室は、一言で言えば、レールを走るホテルロビー。日本に同等の品格内装を有する車両としては、復古した一等展望車マイテ58形式、程度。21世紀になって各社クルーズトレインを製造しているが、それらもルーツを辿れば結局この車両に行き着く。ある意味デファクトスタンダードであり、系譜に座しないのは皇室用になってしまう。なお、マイテ車は観光SL列車「やまぐち号」に時折連結される。
 ジェフ氏は自らも乗り込むとドアを閉め、腰に手をしてトランシーバーを取り出した。
「ジェフだ。出してくれ。いいや判ってる。3番ポイントの前で待てばいいだろう。ホームから見られたくないんだ」
 乗客の都合で時間外に列車を出せというのも大概だが、程なく先頭、黄色い機関車から小さく汽笛が聞こえ、列車はのろのろと動きだした。ドーム状の屋根が連なるプラットホームを行き過ぎ、外れたところで再度止まった。
 途中見えた各ホームには警官がそこここ。二人は地震でも来たかの如くソファテーブルの下に身を潜める。
「あの、お座り下さい」
 ジェフ氏がジンジャーエールのボトルを銀のトレイに載せ、通路に立っている。
 プルマン車。元はアメリカで豪華客車を作っていたジョージ・モーティマ・プルマン(George Mortimer Pullman)の名にちなむ。ソファテーブルを並べた一等座席車で、食事やお茶を頂きながら目的地を目指す。アガサ=クリスティ“オリエント急行殺人事件”では、1両だけ連結されていた設定で、特別車と訳されることが多いようである。
 

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