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ユカちゃんハテナ王国へ行く【7】

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「か、かしこまりました」
 珍しく?セバスチャンがあたふた。
 石造りの階段ぐるぐる登らされ、到着したのは、石造りの塔の上。
 絵本のお城でよく見る、てっぺんがとんがった塔とぺったんこの塔。そのぺったんこの方。
 城は3階建てで、そこから突き出たこの塔は5階くらいになるだろうか。立って縁から見下ろすと、庭の人々が気付き、見上げながら近寄ってきた。
 そばでセバスチャンがすうっと大きく息を吸う。
「我が王家の親愛なる臣民諸君に告ぐ」
 すっげぇエラそうな言い方。意味わかんないけど。
「本日もここにあらせられるユーカ・エンプレス・ド・ハテナ殿下が諸君らの疑問にお答え下さる。質問ある者は挙手せよ」
 セバスチャンが言った。
 ユカはハッと気付いてその横顔を見上げた。今、ユーカ、と言った。
 それは多分、ここの本当の姫様の名前なのだろう。自分は人間違いされたのではないか。ユーカ姫はどこか行ってて、そこにたまたま似たような顔で似たような名前の自分がいた。
 ただ、この人は自分をユーカと信じ込んでおり、違うと言っても信じないだろう。
 そのうち本人出て来るんじゃね?
「はい」
「はい。私も質問が御座います」
 集まった人々から一斉に手と声が上がり、ユカは我に返る。
 多くの目に見つめられて先生になった気持ち。
 で、どうするんだろう。
「ご指名下さい」
 後ろからセバスチャンの声。
 指せ、ということであろう。ユカはとりあえず目のあった男の子を指さした。幼稚園の先生のやり方と同じ。
 すると男の子は笑顔を作り、次いで、大きく息を吸って。
「月が赤くなると聞きました。何ででしょう」
 男の子は、言った。
 ああ月食のことだとユカは判断した。図鑑にそのことは書いてあり、どうして、なのかは、この間お父さんに教えてもらった。
 

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