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2014年7月30日 (水)

ユカちゃんハテナ王国へ行く【9】

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「ハチの巣に行くにはどうすれば?」
「ハチの後を追えばいいんですよ」
 それはテレビで見たスズメバチ退治の方法だが、ミツバチでも同じだろう。
「どうやって?」
「飛んでいるのを走って追いかければいいじゃないですか」
「ハチって飛ぶんですか?」
「飛んでいるところ見たことないのですか?その辺のお花にいませんか?」
 なんでそんなことも知らないの?ユカは少しいらいらしながら、城の庭に広がる花畑の方を示した。
「ハチというものがどんなものかさっぱり……」
 ユカは振り返った。
「ねぇセバスチャン、この国は……」
 ミツバチがいないのか?と訊こうとしたら、セバスチャンは目をまん丸にしてガタガタ震えている。まるで怖いところに来たみたいに。
 冗談じゃない。怖いのはこっちだ。
「あなたは……ユーカ様では……」
「だから違うってば。さっきから言ってんじゃん。でもまぁいいよ。これ終わったらウチへ帰して。でさ、図鑑とか無いの?口で幾ら言っても無理。見せてあげないとだめだよ。あたしの図鑑は?」
 それは“なぜ”とお父さんに聞いた時、お父さんに言われること“百聞は一見にしかず”。本物が一番いいが、なければ図鑑だったり、コンピュータで調べても。
 コンピュータ。
「パソコンないの?」
 するとセバスチャンは突如ユカの腕を引っ張って台から下ろした。
「痛い!」
「あなたはユーカ様ではありませんね?」
「だからユカだって言ってるじゃん。何を今更、勝手に連れてきておいて」
 アホかい。
 いや違う。ユカは思い直した“に、違いない”という思い込みだ。どう考えても間違いなのに、本人が思い込んでいたらそのことに気付かない。
「え、と、ではユーカ様はどちらに?」
 アホかい。
「知るわけ無いでしょ。さっきも言ったけど管理不行き届きでしょこの城。誰が来ても判らない。出て行かれても判らないよ」
 

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