« 【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-41- | トップページ | 【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-42- »

ユカちゃんハテナ王国へ行く【11】

←前へ次へ→

 
 うまく行ったらしい。男達がサッとその場から離れ、空いた空間に胴上げ失敗みたいにドサッと落ちる。
 だが、階段もフカフカ絨毯、ユカも体重20キロなので全然痛くない。
 でんぐり返って仰向けになり、冬のオリンピックのソリ競技(リュージュのことであろう)みたいに、男たちの足の間ずるずる滑って下までドン。
 城の玄関口に出たらしい。その向こうには庭に集まった人々がいて、こちらを覗き込んでいる。
「助けて!あたしここの城に人さらいされたの」
 ユカは人々の中に駆け込んで行った。が、誰も動かない。
「警察は?お願い、だれか助けて」
 困ったように自分を見つめる人々の目。
「無駄ですよ……全くとんでもないことになったもんだ」
 勝ち誇ったようなセバスチャンの声。
 ユカはゾッとしながら振り返った。おとぎの国の人々が、悪者の変なクスリや電波でおかしくされて、とかアニメや童話で見るが。
「我がハテナ王国に警察組織はありません。ここは、何も知らない人々が何も知らないまま、何でも食べて暮らせる平和な国です」
 そのセリフ、そんな頓狂な童話に近い。
 イコール、ここ、いちゃいけない。
「それっておかしくない?」
 ユカは振り返った。キッとなって問い詰める。詰問という奴だ。
 対してセバスチャンはニヤニヤ。
「何故ですか。なまじ知らないことがあっても姫様が国民の皆に答える。これで生きていて何の不自由も無いではありませんか。しかし困りましたね。あなたにこのまま帰られると困るわけですが、さりとてユーカ姫を探す手がかりはあなただけ」
「それって私が言いふらしてバレるの怖いって奴?フン、こんな国があるなんて言っても誰も信じないよ。逆に私の頭がバカになったと思われるだけ。私の住んでるところ?世界と言うべき?ではね。でも、ユーカ姫も可哀想だね。毎日毎日こうしてバカみたいな質問されて答えてたわけでしょ。そのくらい自分で調べろって。逃げたくもなるんじゃない?」
 

|

« 【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-41- | トップページ | 【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-42- »

小説」カテゴリの記事

小説・大人向けの童話」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ユカちゃんハテナ王国へ行く【11】:

« 【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-41- | トップページ | 【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-42- »