【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-44-
以上、ジェフ氏は来歴を説明し、
「このように、ほぼ同時代に建造されたオリエント急行客車類と同じく、デザイン的にはアール・ヌーボーの系統に属します。復古に際しては当時まだ存命だった技術者を招聘し、細心の注意を払いました」
そう復古車、である。原製造は1920~30年代。引退後は個人所有や、廃棄され朽ち果てていたり。それをチャーター専用のクルーズ列車として買い取り復古。骨組み以外ほぼ作り直したという。
「なるほど。よれよれでもスーツで良かった。そして何より一通りの柔軟な対応、彼女に代わりまして感謝いたします」
「お気になさらず。コーヒーでも淹れましょうか。エスプレッソはお嫌いですか?」
「いいえ、いただきます」
このやりとりより程なく、抽出機器の動作音か、はたまた香りか、レムリアは目を開けた。
「どの辺?」
肩にかけられたブランケットを畳んで脇へ。
「ドイツに入った」
時間的にもティータイム。テーブル挟んで向かい合う。
「きらっきら輝く少女だな」
「おかげさまでね。もう、何も要らないや。EFMMも出ようかと思ってる」
「え?」
相原は目を見開いた。
EFMM……European Free-will Medical care Missionの頭文字である。欧州自由意志医療派遣団と訳され、彼女が公的に所属し、看護師資格を取得したボランティア団体である。
彼女の活動の軸足。
「出るって……」
「あちこちで活動した中で、今度は自分が助ける側に、と言ってくれた方々がいた。そうした人はもう充分なスキルを持ったし、手品を覚えてくれた子ども達もいるからね。任せて良いとこは任せてもいいかなって」
レムリアはそこで相原を見た。
「で、思ったのは、実は、私がいるべきは日本なんじゃないかって。あなたと暮らそうってだけじゃ無くて。マザーテレサの言葉を知ってる?」
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